「Mi:media」=mimei+media

 

初めての短編集を上梓して間もない頃、担当の編集嬢から「2冊目を出しましょう」と言って頂いた。にも拘わらず、いつまでもぐずぐず煮え切らないあたしにしびれを切らした彼女は、突如として言ったのだった。「じゃあ、今書いているブログを出版しましょう、ムック本として」。

 

その頃、日々更新していたブログは、確かに「何でもあり」だった。日記、エッセイ、詩のやうなもの、観たもの聴いたもの読んだもののレビュー、気になる商品、お気に入りのサイトの紹介。好き勝手に書くうちにカテゴリーも20を超え、雑誌の目次のようになっていた。どうせならと半ば開き直るような気持ちで、ブログのサブタイトルにはWeblogMook(magazine+book=mook)と記していた。

 

「だからこのWeblogMookを紙の本にしちゃいましょう」「え、でも、2冊目にしてムック本ってあまりに無謀では」と後じさりするあたしを尻目に編集嬢はなぜか「大丈夫です」を連発する。その勢いに押され、掲載するテキストを選別し、雑誌らしく対談やらインタビューやらも企画して、気づけばやけに分厚い本になっていた。

 

が、あまりに「何でもあり」の本なので、タイトルが決まられない。悩むあたしの前に、これはどうでしょうと編集嬢が提示してくれたのが「ミ・メディア」だった。「ミメイさんのアンテナに引っかかったものを集めた本、ミメイさんが発信するメディア。だから、mimei+mediaでmi:media」

 

以来、この「mi:media」は自分の代名詞のようにもなり、すっかり肌に馴染んでしまった。ぱっと見ただけでは「なんのこっちゃ」なこの言葉だけれど、ある意味あたしの本質をついているような気もする。

 

初の自サイトはムック本「mi:media」の発行に際して出版社のサイト内に作って頂いた。ずっと間借りしている訳にもいかないだろう、と、その1年後、またも編集嬢の手を借りて「公式サイト」をオープンした(編集嬢・杉本恭子さんには本当にお世話になりました。あらためて、心より感謝を)。それが2005年のこと。

 

気づけば長い月日が経ち、その間には私的な(些末な)出来事があれこれあり、社会的にも世界的にも、たくさんの大きな事があった。あったからこそ、この辺りで心機一転、自分の手で公式サイトを作ってみようかなと思い立った。今更ながらではあるけれど、ようやくの「独り立ち」。新規開店と相成りました。頼りない主ではありますが、今後ともどうぞご愛顧のほど、よろしくお願い致します。

                            田川未明

2013年10月吉日